やー、終わっちゃいましたね、日プ。でもまだ余韻に浸ってるという方も多いのではないでしょうか。というかね、ある意味プデュシリーズの醍醐味は、この終わった後の虚脱感なのかもしれないな、と思ったり。
で、今回もやっぱり最終回に番狂わせがありましたね。これまで一度も11位以下になったことがない安藤誠明くんが、まさかの14位脱落。個人的にもコレは完全に予想外で、ラストに與那城オッパを抱きしめるともくんの姿に唖然としておりました…。
で、ここでは、なぜこれが起きたのか、ということを考えたいんですが、この考察はつまり、日プ運営・制作陣がどちらを向いて最終回を作り上げたのか、ということに繋がってくるわけです。
なぜ安藤誠明は日プ最終回で脱落したのか?
最終回の脱落メンバーは、ポジション割り当て時点で決まっていた?
最終回の1回前、第11回では20位までの順位発表があり、最終回の2曲をポジション割り当てしていきました。今考えてみると、実はこの時点で最終回の順位変動がかなり決定づけられていたんです。
下の表は、デビュー評価ソング「YOUNG」と「GrandMaster」のポジション割り振りと、直近3回の順位、そして最終的な順位変動です。名前の前に○が付いているのがデビュー組です。
最終変動が3以上のものには色を、5以上のものは色と太字をつけています。
YOUNG | 10回 | 11回 | 最終順位 | 最終変動 | |
メインボーカル | 安藤誠明 | 7 | 6 | 14 | -8 |
サブボーカル1 | ○川尻蓮 | 2 | 1 | 2 | -1 |
サブボーカル2 | ○白岩瑠姫 | 4 | 4 | 6 | -2 |
サブボーカル3 | 大澤駿弥 | 19 | 15 | 13 | +2 |
サブボーカル4 | ○大平祥生 | 13 | 9 | 4 | +5 |
サブボーカル5 | ○木全翔也 | 9 | 8 | 8 | 0 |
サブボーカル6 | ○與那城奨 | 8 | 10 | 11 | -1 |
ラッパー1 | ○鶴房汐恩 | 3 | 3 | 5 | -2 |
ラッパー2 | 本田康祐 | 15 | 16 | 15 | +1 |
ラッパー3 | 宮島優心 | 25 | 20 | 12 | +8 |
GrandMaster | 10回 | 11回 | 最終順位 | 最終変動 | |
メインボーカル | 床波志音 | 16 | 17 | 19 | -2 |
サブボーカル1 | 今西正彦 | 20 | 18 | 17 | +1 |
サブボーカル2 | ○豆原一成 | 1 | 2 | 1 | +1 |
サブボーカル3 | 佐藤來良 | 18 | 19 | 16 | +3 |
サブボーカル4 | ○佐藤景瑚 | 17 | 13 | 7 | +6 |
サブボーカル5 | ○川西拓実 | 12 | 5 | 3 | +2 |
サブボーカル6 | ○河野純喜 | 11 | 11 | 9 | +2 |
サブボーカル7 | ○金城碧海 | 24 | 14 | 10 | +4 |
ラッパー1 | 井上港人 | 22 | 12 | 18 | -6 |
ラッパー2 | 上原潤 | 5 | 7 | 20 | -13 |
2曲を並べてみると、デビュー組に入ったのがメインボーカル2人中0人(デビュー率0%)、サブ1~3の6人中3人(デビュー率50%)、サブ4~7の7人中7人(デビュー率100%)、ラップ5人中の1人(デビュー率20%)となります。
完全に、ラストステージのパートが少ない方がデビュー確率が高いんですよ。サブ1~3なんて、デビュー出来たのが豆原・川尻・白岩という、ガチガチに固かった3人なんです。
順位変動についても同様で、メインボーカルは平均5位の低下、サブ1~3が平均0.7位の上昇、サブ4以降が平均2.6位の上昇、ラップが平均2.5位の低下という感じでした。
ポジション取りの時に「誰も来ないだろうからサブ4で」と言ってたサケイ、放送を見ながら自分は「サブ1とか狙えよ!」とか思ってたんですが、実はサケイが正しかったんですわ。
最終順位に影響したのは、最終回ではなく第11回の放送内容だった
じゃあなぜポジションの割り振りが最終結果を左右したのか、いろいろ考えていたんですが、以下のようなことが結構起きていたのではないでしょうか。
1:自分の推しMENが、得意分野のポジションを取れた場合→最終回で推しは力を発揮して、デビューの可能性も高くなるだろう。一安心かもしれない。
2:自分の推しMENが、得意分野の(もしくは美味しい)ポジションを取れなかった場合→最終回で力を発揮できないかもしれないから、最終回の国民投票前に、出来るだけ投票しておこう。
さらに、こういう思考があった方もいたのではないかと思います。
3:自分の推しMENは、これまで順位が安定している。最終回の国民投票でも同様だろう。一安心かもしれない。
4:自分の推しMENは、順位が不安定、もしくはデビュー圏内に入ったことがない。最終回の国民投票前に、出来るだけ投票しておこう。
上の1と3が揃った状態になっていたのが安藤くん、そしてラップ巧者としてキャラクターを確立しまくっていた上原くんの2人だったのではないかと思います。2Pickでは強さを見せ、最終回にまさかの順位降下と脱落に見舞われた二人です。
逆に、YOUNGのメインボーカルに立候補していながらサブ6に割り振られた與那城くんは典型的な2のパターン。Black Outのラップで注目されながらGrand Masterのサブ7になった金城くんは2と4を合わせたパターンで、2人ともデビューを果たしました。
サケイが最終回で初めてデビュー圏内に入ったことや、大平くんが4位フィニッシュだったことも、このあたりで説明できそうです。
さらに言うと、第11回に挿入された佐藤來良くんと宮島くんの復帰シーンで、ものすごく美味しい反応をしていた河野くんと金城くんもデビュー圏内に入っています。
ポジション割り当ての内容と合わせて、最終回のパフォーマンスよりも第11回の内容の方が、デビューに影響したと思わせる事実だと感じます。
日プ最終回の投票有効性は、従来シリーズの14分の1に過ぎなかった
なぜ、最終回の一回前に配信されたポジション割り当てが、デビューの明暗を分けてしまったか。 これは、従来のPDシリーズと、今回の日プでは、最終回における国民投票の有効性に大きな違いがあったからではないか、と考えています。
1pickになってから従来のシリーズと、日プの投票方法についてまとめておきます。
従来のPRODUCE101シリーズ
第11回~第12回まで 1pick
第12回 放送中の1pickは7倍換算
放送中に順位途中経過あり
PRODUCE101 JAPAN
第11回~第12回まで 2方式(GYAO!とLINE)で1pick
第12回 放送中の1pickは1サイト(GYAO!)のみ
放送中に順位の途中経過なし
ここで、最終回の国民投票について、その有効性を比較するために、第11回~12回までの投票有効性を、Xと仮定します。
すると、従来のPD101シリーズ、最終回の国民投票は、有効性が"7X"になります。それまでの一週間の7倍の有効性があるわけです。逆に、日プ最終回の投票有効性は、これまで2サイトで出来ていた投票が1サイトだけになるわけですから、"0.5X"になります。7Xと0.5X、単純に比較すると、実に14倍の差があるわけです。
もちろん、日プの1pickは2サイトで別々の練習生に投票することも出来るので、単純比較することは難しいですが、それにしても、従来のPDシリーズでは最終回のパフォーマンスがデビューを左右する、という要素が大きかったにもかかわらず、日プではデビューするかどうかに、最終回のパフォーマンスがあまり関係なかったというのは、数字的な面からも明らかなのではないかと思います。
デビューメンバーは、最終回放送前にはほぼ分かっていたのではないか
PRODUCE101シリーズの名物プロデューサー、アンPDの逮捕とその後の取り調べにより、シリーズ1と2では最終順位の入れ替えが、PD48とPDXでは最終回放送前にデビューメンバーの恣意的決定がなされていたことが明らかになっています。
X1とIZ*ONEのメンバーは最終投票前に決まっていた・・! 「PRODUCE」シリーズの投票操作疑惑の捜査で明らかになってきた衝撃の事実とは - KPOP monster
韓国メディアは12月5日、IZ*ONEとX1のメンバーは、視聴者が票を投じる前にすでに決まっていたと報道。それによれば、アンPDとキムCPらは7月17日、CJ ENM本部で会議を開き、「PRODUCE X 101」終了後にX1としてデビューする練習生11名と、彼らの最終順位を決めたという。
「PRODUCE 48」(2018年6月15日~8月31日)から誕生したIZ*ONEについても、最終メンバーが決まる最終回の投票前に番組サイドは12人のメンバーを選定。「PRODUCE X 101」同様、事前のオンライン投票でデビューさせたくない練習生がデビュー圏内に含まれていたため、これらの練習生を除外し、メンバーを決めたという。
検察が5日、国会に提出した控訴状によると、「PRODUCE 101」シリーズの制作を総括するキム・ヨンボムCPは去る2017年の「PRODUCE 101」シーズン2のオンラインおよび生放送メッセージ投票結果において練習生Aの得票数を操作していた。検察は、練習生Aは最終デビュー組である上位11人に入っていたが、操作によって11位以下に落とされたと把握したという。
また、アン・ジュンヨンPDはシーズン2の1次脱落者決定の際、順位を操作し合格者と脱落者を入れ替えたと調査され、シーズン1でも1次脱落者を決める過程で投票結果を意図的に変えていたと調査された。
この動きと同時進行的に進んでいた日プは、これまで何度も取り上げてきたように、投票操作を絶対にしないこと、公明正大に集計することを宣言しています。
『PRODUCE 101 JAPAN』の制作は、以上のとおり実施しており不正はございません。さらに、『PRODUCE 101 JAPAN』の投票集計作業について、上記の複数社のスタッフによる投票集計チームに、制作業務から完全に切り離された外部弁護士も加えた投票集計管理体制とし、より強固で公明正大な集計環境の下で実施してまいります。
自分としては、日プに投票操作はなかった、と考えています。一言で言えば、操作するリスクが高すぎます。ここまで何度も書いてきたように、そしてプロジェクトリーダーの崔さんが以下のように語っているように、ともかく巨額のプロジェクトなので、変な動きをするわけにいかないと思うんです。
――これまでアイドルオーディション番組はいろいろ存在しましたが、練習生101人からスタートして、動画を大量に配信して、視聴者も"国民プロデューサー"として巻き込んで......と、たしかに「過去最大級の番組制作規模」をうたうのも納得です。
相当莫大(ばくだい)な金額がかかっています。びっくりするほどの金額が、本当に、本当にかかっています......(笑)。
ですが、最終回に関しては、なるべく生放送中に結果が変わらないような投票方法を行うことで、放送前に、制作側は結果がある程度わかっている状態にしておいたのではないか、と考えています。
根拠1 最終回投票の有効性を出来る限り抑えた
PDシリーズにおいて、最終回投票の7倍ルールは「何が起きてもおかしくない」というシチュエーションを作り出す大きな要素でした。そして、そのシチュエーション下において、運営側の意図に沿うような形にグループを作っていったわけです。
一方、日プは運営側が恣意的にグループを作ることはできませんが、投票ルールやその有効性を決定することはできます。まず一つ、先述の通りに、最終回の国民投票の有効性を従来シリーズの14分の1に抑えたところに、運営の「最終回の結果を最終結果に反映させたくない」意図を感じました。
根拠2 最終回投票は固定ファン以外にはハードルを高くした
最終回放送前の記事では、国民投票の方法はdボタンになるのでは?と書いていましたが、結局はGYAO!からの投票のみ受け付ける、という形になりました。
【最終回生放送中の投票についてお知らせ】
最終回生放送中の投票はGYAO!のみとなります。生放送中はGYAO!投票サイトへのアクセスが集中される恐れがあり、放送開始前にサイトを開いた状態で投票を行ってください。
そのGYAO!投票、初めて投票する人にとっては、一番ハードルの高い投票方法だと思います。dボタンを押すだけ、とか、LINEでソフトバンクと友達になるだけ、とか、そういう話じゃないんです。どれだけの人が、最終回で日プを初めて見て、投票までこぎつけたでしょうか?
Yahoo! JAPAN IDでログインしてください。
Yahoo! JAPAN IDのSMS認証を行なってください。
※SMS認証・パスワードの設定について詳しくはこちら
練習生の中から、投票したい練習生の「投票ボックス追加」ボタンをクリック。1人を選択してください。
これは、ほとんど「既存の国民プロデューサーからの投票を中心に受け付ける」という宣言と同じようなものだと感じます。そして、既存の国プの多くは、これまでの一週間と同じような投票行動をすることでしょう。さらに言えば、多少イレギュラーな投票行動をしたところで、さほど変化は起きません。その有効性は、これまでの2分の1、過去シリーズの14分の1に抑えられているわけですから。
根拠3 画面上部の表示が、ほとんど意味をなしていない
PRODUCE101シリーズ最終回の恒例、画面の上端に、最終候補の名前と番号、そして投票するための番号が表示される、というのがあります。国民投票に必要な情報ですよね。
日プでも、この表示があったんですが、顔と名前となんか数字があって、これ何?と思ってたんですが、年齢でした。投票用の数字とかじゃないわけです。国民投票に必要な情報ではない。
つまり結局、この表示はお飾りというか、本家と同じように投票受け付けてますよ、という形のアピールということなんじゃないか?と思ったわけです。
デビュー評価ではなく、日プ運営は何を重視したのか?
予定よりも書くのに時間がかかりまくってるので、手短に自分が思う結論を書いてしまうと、「3か月間に作り上げたファン層を大事にした」ということではないか、と考えています。
地上波ゴールデンで20人から誰がデビューするか分からないという状況に対応するのが相当に大変、ということもあるかもしれませんが、それはむしろ副次的なものなのではないでしょうか。
何度も書いていますが、本国のPRODUCE101シリーズ問題で、デビューグループであるJO1は、韓国での活動が当面はかなり厳しい状態です。いきなり国際的な人気を掴むことは難しいでしょう。
そこで重要になってくるのが、これまで番組と一緒に走り続けてきたファン層です。練習生の応援広告が話題になるなど、番組を通じてその支持はかなり強固なものがあると思います。
地上波ゴールデンで初めて投票するような一見さんの影響や、一回のパフォーマンスの良しあしによる影響よりも、番組と練習生をこれまで支えてきたファンの固さを、日プ運営は重視したのではないでしょうか。
そして、プデュは終わってからが面白い!
ただ、ここには大きな問題が出てきます。これまでのシリーズで出来上がったグループのような能力的なバランスやキャラクター付けが、完全にファン投票のみによるグループであるJO1の弱点になりかねないんです。かなりの美男子ぞろいであることは間違いないですが、特にラップはこれからの大きな課題になることでしょう。シュッとしたタイプが多いので、ちょっとファニー&キュートな、例えばやんちゃBOYやんちゃGIRLみたいな楽曲を、どうやってこなしていくかというのも、大きなテーマになると思います。
そして、本当にここ一週間の票の動きだけで脱落してしまった最強ヴォーカリスト安藤くん、日プの誇る技巧派ラッパー上原くん、ラストにかけて頭角と実力を現しまくった井上くん、魅力的な歌声と爆発的な伸びを見せる床波くんに、キャラクターとダンスだけではなく人格的な魅力も示してくれた今西君、小さい身体の中に最高のアイドル性を秘めた宮島くんと、リーダーシップだけではなく優しく繊細な面も合わせる本田のアニキ、誰よりもたくさん涙を流しながら、それでも笑顔が輝いていたオールラウンダー佐藤來良くん、事前動画からキャラクターを爆発させた愉快なアイドル大澤くんと、本当に魅力的な、それぞれにスペシャリティーを持った練習生が脱落しました。そしてもちろん、20位以下にも綺羅星のように魅力的な練習生が揃っています。
PRODUCE101シリーズは、実はここからが本当の戦いです。苛烈なショウビズの世界で、今現在自分が持っている手札をどのように使って、どのように戦っていくか、バックについている会社はどこか、どれだけ自分を支えてくれるファンがいるか、そして、どんな運命が待っているのか。これは、本当に誰にもわからないことです。LAPONEエンタテインメントがどうなるかとか、ホントだってわかんなくないですか?!
2019年のPRODUCE101 JAPANは終わりました。JO1が始動し、脱落した練習生たちも、それぞれの道を歩み始めています。ここからが、ここからが絶対に面白い!と思いつつ、これ女子ヴァージョンやったらどうなるんだ…とかいろいろ妄想したりしてマス!とりあえず以上!