秘密の森シーズン1・2を通しで見ていろいろ考えた話

怒涛の社会派サスペンス「秘密の森」シーズン1

「38師機動隊」記事の最後にも書きましたが、「秘密の森」を見始めまして。で、シーズン1、シーズン2と通しで見たんですよ。シーズン1のDVD予告編見ると、うわー懐かしい!ってなるけどつい先月なのだな。


【公式】「秘密の森~深い闇の向こうに~」予告篇

すごく簡単に言うと、権力組織の腐敗と、それを暴いていく感情を持てない検事、そして感情と感性と正義感に溢れた女刑事が出会うという図式。

ストーリーの流れが、一つの事件が起きて、その事件が連鎖的に事件を引き起こしていき、そこには検察をはじめとした権力の構造が絡んでいる、という感じ。

なんというかすごく閉じられた人脈の中でいろいろなことが起こりまくっていて、ちょっとそれは現実味が…と思ったけど、最終盤の畳みかけで、そういうことを描きたかったらそうするしかないよなーって納得しました。

秘密の森シーズン1に感じた、日本漫画の影響

見ながらずーっと、ビッグコミックみたいだなーと思ってたんですよ。スピリッツじゃなくてオリジナル。

そもそも主人公の検事、ファン・シモクが、浦沢直樹作画っぽいというか、「MASTERキートン」感があるんですよね。MASTERキートンがそもそもビッグコミックオリジナルだわw

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MASTERキートン File1 [DVD]

MASTERキートン File1 [DVD]

  • アーティスト:蓜島邦明
  • 発売日: 1999/12/22
  • メディア: DVD
 

もう一人の主人公がハン・ヨジンという刑事で、ペ・ドゥナがすごい強くて可憐なんですよ。感情を失ってしまった(というか表出できない)シモクと対照的に、ものすごくエモーショナルで情に溢れている。あと、マンガ&絵を描くのが好きっていう設定。

かなり大事なところで手塚治虫に言及するシーンがあったりして、これ脚本家の方が、日本の漫画に詳しかったりするのかな?

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醍醐味は、個性が立ちまくりなキャラクター造形

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半分受け売り、でも自分でもそう感じてたのでそう書くんですが、いやー、面白いドラマって、主人公以外のキャラクターがちゃんと立っているのが大事な要素なんですよね。

山田孝之みたいな分かりやすいイケメンなのに、もう、もんのすごく嫌味な男というソ・ドンジェがね、最高です。見ててなんども「こいつは…」ってなります。それだけ心が動かされるんだよな。

主役張ってるドラマの予告編とか見ても「ドンジェ何やってんだよ…」と思う身体になってしまいました。


【予告編】裸の消防士

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あと、次長がねー、アカデミー眉毛賞があったら間違いなく受賞すると思います。眉毛と視線の動きだけでものすごい演技する。いろんなドラマ出てるみたいでいろいろ見たくなる。

演じるユ・ジェミョンさんは梨泰院クラスの悪役で有名らしいんだがまだ見てないのです梨泰院。見なくては…。あとお子さんが1歳になったばっかりとかでめちゃめちゃカワイイ。

sportsseoulweb.jp

さらに広がる社会正義への問い「秘密の森」シーズン2


秘密の森 シーズン2 | ティーザー予告編 | Netflix

で、シーズン2なんですが、なんか全然絵が違わない?と思ったら、監督が交代しているんですね。ネタバレが怖くて全部見終わってから調べましたw

navicon.jp

今回シーズン2の演出を務めたのは「むやみに切なく」などのパク・ヒョンソク監督であり、シーズン1のアン・ギルホ監督(「青春の記録」「アルハンブル宮殿の思い出」等)とは別の人物。今回監督が変わったため一部視聴者からは残念だという意見もあったのは事実だが、放送終了後の視聴者達の感想は上々で、パク・ヒョンソク監督自身もドラマ放映終了後のインタビューにて「アン・ギルホ監督が演出したシーズン1が作品性の面であまりにも高い評価を受けていたため負担が大きかった」と述べながらも「シーズン1からシーズン2に繋げることができたようで少しは安心している。」と率直な感想を打ち明けた。
尚、脚本に関してはシーズン1から変わらずイ・スヨン作家。シーズン2でも様々な事件が蜘蛛の巣のように張り巡らされつつ再び一つに繋がっていく、イ・スヨン作家特有の構成が輝いた。

 調べたら、脚本家本人も、シーズン1がおとぎ話的だったと認めていたのも面白い。

www.ytn.co.kr

イ・スヨン:昨シーズンは、ファンタジーに近いと思います。事実、すべてのドラマはファンタジーだが、私が選んだ素材の責任は負わなければならないという考えで、今回の内容があまりにもファンタジーで流さないように注意しました。(でもファンタジーが楽しいんです!)以外の自己複製は絶対にないというのが、今回の台本を書くとき最優先事項だったので、どうすれば、他の構成になるかを最も多く検討しました。

一つの事件から発展して、続々と展開していって、その背景にあるものが明らかになっていく、というシーズン1とは対照的に、シーズン2で起きる事件は散発的で、ばらばらに配置されている。

で、それが組み合わさるのか?組み合わないのか?と見せつつ、ストーリーも展開していき、背景にあるものも明らかになっていき、という感じで、シーズン1が線上にストーリーがあったとするなら、シーズン2は面状に広がっていく感じ。次元が一つ増えてました。

あとは、ストーリーの核となる検察と警察の捜査権の争いというのが、韓国で本当にあることみたいで、今回はものすごくリアルに寄せてる感じ。散発的に起きる事件も、すごくリアリティがあるし。

そこが中盤までは、もんのすごく好きなんだけど、終盤でちょっと説明的になって、えー、と思ったんですけど、でも最終盤で盛り返す、という感じでした。シーズン1との好みは分かれるだろうなー。

シーズン2もイイ味出してるキャラクター満載!

キーとなる登場人物の一人で、検察側の法制団団長、ウ・テハという人がいるんですが、完全に朝青龍じゃん!と思って自分の中でドルジと呼んでおりました。

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演じるチェ・ムソンという人は、遅咲きだけど人気も実力もあるらしく、しかも東京に住んでいたこともあるそうです。「応答せよ1988」も見なくては…。

saeriho.com

あとですね、キム部長ですね。この人ぜーったいどこかで見たことある!と思いながら見てたんだけど、どうやら見たことないんですよ。なんつーか、普遍的な、真面目そうな感じと軽そうな感じと裏がありそうな感じがないまぜになった、むちゃくちゃリアリティのあるキャラクター造形なんですよ。ホント感心します。

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ドラマの合間に垣間見た日本と財閥へのアンビバレンス

シーズン1で面白かったポイントとして、ちょこーっとだけ日本人というか日本企業が出てくるんです。で、いきなり財閥のえらい人が日本語で話し出すシーンがある。

なんか、日本語をいきなり使うのが腐敗層を描くお約束、というのがあるみたい。しかし俺はなんだっちゃあnamu.wikiを自動翻訳しているな。

https://namu.wiki/w/%EB%B9%84%EB%B0%80%EC%9D%98%20%EC%88%B2%202

ユンボムが日本語を使用したり、 会場の子供たちが会社の経営権を競うなどロッテを連想させる部分がある。しかしイユンボムシーズン1、当時から成るグループが大韓民国GDPの3分の1を占めている大使、自動車事業をするという点で、単にロッテだけモチーフにした基は難しい。王子の私やはり絹ロッテだけの問題ではないだけで汚れ不意に日本語を使用することは、元の韓国ドラマ/映画で腐敗した高位層を描写するときよく使うクリシェある。

さっき書いた、ヨジンが手塚治虫に言及するというシーンと合わせて考えると、すごく日本がアンビバレントな存在として扱われてるように感じて、日本人としては面白いポイントでした。

ただ、シーズン2の1話では、ヨジンがアメコミ好きな感じで描かれてて、なかなか複雑なものがあるんだろうな、と邪推しましたね。まあ一応部屋に漫画も置いてあるんですけども。

シーズン2を通して、仕事人としてのヨジンが描かれるけど、趣味人としてのヨジンが描かれなかったのは残念ちゃー残念だけど、まぁキリがないからなー。

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さらに言うと、シーズン1、2ともに、財閥企業が大きな役割を演じるわけです。しかも、あんまり好意的ではないというか、まぁ悪役的な立ち位置。

これは結構韓国ドラマではあるあるらしく、なんつーか財閥については、どんな描き方をしても良いみたいなのあるのか?と面白かったんですよね。

でも、使ってるスマホSamsungだし、載ってる車はだいたいHYUNDAIなんですよ。めちゃめちゃ財閥系企業に頼って生活してる感もある。ここもアンビバレントなものがあるんだろうなーと思いました。

これは余談なんですけど、シーズン2で何度も「dal.komm coffee」って出てきて、なんぞ?と思ったらドラマとかでよく使われるチェーン系カフェなのね。

www.dalkomm.com

親会社調べたら、Danal Entertainmentというところで、LOONAのアルバム出したりしてて、ここでそう繋がるんだ!とか思いました。

www.discogs.com

tower.jp

レーベル

Danal Entertainment

スタジオドラゴンについて書いたけど収集つかないのでいったん上げる!

ここまで「愛の不時着」「38師機動隊」「秘密の森」と3作続けてスタジオドラゴンの制作したドラマで、どれもそれぞれに面白いので、遅ればせながらスタジオドラゴンについて調べてるうちに、どんどん親会社であるCJ ENMとの絡みになってきてしまい…。

それがこの記事の倍ぐらいあるんだけど、それでも書き足りないなこれは…みたいな話になってきてしまったので、とりあえず秘密の森の記事をいったん上げてしまいます。

やーでもね、いちばん人間臭いキャラクターである龍山署のチーム長とか、シーズン2のアイドルであるチェビッたんとか、いろいろ書きたいことはありますね。弁護士の父ちゃんとか最高だったよな。

シーズン1、2と見たのでものすごいわかりやすかったんですが、シーズン3があったらすべて忘れていそうw でもシーズン3あったらめちゃめちゃ見るだろうなー。

sportsseoulweb.jp

 ありふれたロマンスもなく、事件・事故に迫るストーリー展開にもかかわらず、高い支持を得た。パク監督は「社会の痒いところに手が届くメッセージとテーマを持っているので、視聴者がその真心を受け止めてくださったのだと思う」と、嬉しそうに語った。

シーズン3に対する期待と可能性も引き続き言及されている。パク監督は「制作するかどうかはまだ分からない状況」と言葉を慎みながらも、「主演チョ・スンウさんの言葉を借りると、シーズン3が制作されれば、それはひとえに『秘密の森』ファンの愛と声援のおかげだろう。そのときはまた、脚本家さんが韓国社会を貫く別のメッセージを込めた物語を描いてくれると信じている」と話す。

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