90年代からゼロ年代のDrum'n bassとかJungleとかの名曲を淡々と貼っていく
この記事どこから入ろうかなー。最近出たLovelyzのアルバム曲『Daydream』が、めちゃくちゃイイ2STEP歌謡だったところから入りましょうか。
Lovelyz 러블리즈 " Daydream 백일몽 " Lyrics (ColorCoded/ENG/HAN/ROM/가사)
Lovelyzと並んで、"K-POP楽曲派"と言われる(今俺がはじめて言った)宇宙少女の去年のアルバム曲『Geeminy』、これがまた素晴らしいドラムン歌謡でね…。
Cosmic Girls WJSN 우주소녀 " Geeminy " Lyrics (ColorCoded+Han+Rom+Eng)
Drum'n Bass(ドラムン)、2STEP、そしてそれらがジャンルとして成立する以前に猛威を振るったラガジャングル、流れ的には(ジャンル名としての)ブレイクビーツをずあーっと紹介していこうかという話です。リクエストがあったので。
歴史的な経緯とか書くけど、うろ覚えなので間違いがあったら申し訳ないデス。
90年代初頭のブレイクビーツ
まずブレイクビーツ、この曲が808STATEの『Pacific』をサンプリングしたのか、こっちが元になって808STATEの曲が出来たのかがよくわかんない!曲名もモジってるからこっちが後?ともかくこういうビート曲多かったの。
[1990] A Guy Called Gerald - Specific Hate
そしてProdigyのCharlieってジャングルの影響下なのか、ブレイクビーツとしてやってて、そこにラガジャングルの影響があってOut of Spaceなのかってのも今ちょっとわかんない!ブレイクビーツは90年代後半にビッグビートとか言われて再加熱します。
The Prodigy - Charly (Official Video)
The Chemical Brothersが改名前、The Dust Brothersとして発表して人気を博した(で、ケミカルズ名義のアルバムに入った)Song to Sirenはめちゃめちゃわかりやすくブレイクビーツですね。話がずれるのでファットボーイスリムとかの話はしませんよ。
Song to the Siren - The Chemical Bothers
一世を風靡したラガジャングルの名曲
もうここら辺は説明不要という感じの名曲で、何度となくtwitterとかでも貼ってますが…。このあたりが93年、94年という時期ですね。
このあたりのラガジャングルの名曲って、この後のドラムン楽曲より、今聴いても聴ける感じなのが不思議。
Shy FX & UK Apachi - Original nuttah
M Beat feat General Levy Incredible
同時進行する初期Drum'n Bass
レゲエからの発祥という色合いが強かったジャングルに対して、ブレイクビーツからの流れが強く、よりテクノ色が濃いサウンドをDrum'n Bassと呼ぶようになった、と断言すると歴史捏造になっちゃうかもしれませんが、自分の印象であります。
Moving Shadowは当時の有名レーベルでともかくイイ曲多かった記憶。
Foul Play - Open Your Mind (Foul Play Remix)
これについて調べてた時に、LTJブケムが「インテリジェント・ジャングル」って言われてたという記述を見つけて、懐かしすぎて失禁しそうになりましたね。グッドルッキングも名レーベル。
多様化、細分化しまくった90年代後半のDrum'n Bass
90年代後半になっていくと、Drum'n Bassという呼び名が主流になっていた気がします。そんでめちゃくちゃ多様化して細分化していきます。
この記事を考えた時に一番最初に思い浮かんだのがBoymerangでした。この1枚しかアルバム出してないけど、当時めちゃめちゃ評価されてたよね。ロック人脈からも評価されてた気がする。
テクノの老舗レーベル、R&Sが名物コンピレーション「In Order to Dance」をドラムンベースでリリースしたのが当時の状況をよく表していると思う。ともかくドラムンでなければ最先端にあらず!みたいな雰囲気すらあった。
そのコンピの中に入ってたこの曲LemonD『Manhattan Melody』はジャングルの荒いテイストとドラムンの洗練された雰囲気がかなり高度に結びついていると思う。えらい好きでした。
OC9AA2 - Lemon D - Manhattan Melody
正統派ドラムンベースサウンドで人気を博していた4HEROは、よりオーガニックなサウンドを志向したアルバム『TWO PAGES』をリリースして大きな話題を呼びました。端的に言うと生音を使った歌モノが増えたのです。
かと思えば、ビートを複雑にプログラミングしなおして生でベースを弾いてフュージョン的なサウンドを載せるという、それまでレゲエとテクノの文脈で捉えられていたドラムンベースに革命を起こすSqurepusherという人まで現れました。この曲はマジで歴史的だった。
Squarepusher - Squarepusher Theme (Stereo Expanded)
この複雑なビートはドリルンベースなどと呼ばれるようにもなって、それまでテクノシーンにいたAphex Twinやμ-ziqなどのコーンウォール一派が取り入れるようにもなる。ここまでくると、もう完全にレゲエの文脈は抜けているという印象。
ドラムンの大物、ゴールディーなんかは90年代が下ってくるとロックの文脈に近いところで活躍するようになっていた、ような気がします。OASISのノエルが参加してる曲があったり。
Goldie - Temper Temper (Official Music Video)
Roni Sizeはジャズテイストにのめり込んでいった印象。一時期はジャズステップって言葉もあったよね。
Roni Size, Reprazent - Brown Paper Bag
Photekがいきなり和モノに目覚めて、『Ni-Ten-Ichi-Ryu 二天一流』って曲を出したりとか、もうホントなんでもありっちゅーかみんな高速ビートに乗せて好きにやってた。
90年代末期から2000年代初頭の2STEP/UK GARAGEへ
まずは90年代後半の曲なんだけど、Alex Reeceは西ロンドン出身だったと思うんですけど、R&Bテイストを取り入れつつ、正統派ドラムンの要素を残した歌モノが脈々と受け継がれていきます。
Alex Reece - Feel The Sunshine
さらにガラージュハウスと結びついて、2STEPとかUK GARAGEと呼ばれたりするサウンドに変化、世界的なビッグヒットになっていきます。
クレイグ・デイヴィッド、MCコール、ゼッド・バイアスなんかが代表格でしょうか。ハウステイストが強かったり、それでいてレゲエの要素が再度強調されてたり、時系列で聴いていくと面白いですね。
Craig David ft Artful Dodger - Re-Rewind
MJ Cole - Sincere - Original (UK Garage)
Neighbourhood - Zed Bias featuring Nicky Prince & MC Rumpus
上記の3人に比べたらマイナーかもですけど、WookieのBattleとかめちゃめちゃ好きでした。シンセやベースの音も深いし、美メロだし、これは今でも聴ける感じですね。
Wookie - Battle feat Lain - Original Mix (UK Garage)
こっからさらに変化していって、Dub Stepが流行して、EDMと呼ばれるようになるまで普及化、ベタ化していく、みたいな今まで続く歴史的経緯があるのです。ベッドルームでエレクトロニカ経由してアニソンとボカロを消化してFuture Bass、とか。全ては繋がっている…。
Drum'n Bass/Jungle/2STEPは日本ではどうだったのか?という話も
いまだに覚えている方も多いであろう「H Jungle with t」が1995年。タイミングはめちゃめちゃ早くて、レゲエ文脈もしっかり取り入れたんだけど、いかんせん面白枠になってしまって当時のコア層による反発はえらい強かった。
こういう芸能の文脈から逃れるためにクラブにいるのに、なんでその文脈の中で消費されなきゃならんの?という怒りもあったと思うなー。まぁ見るとみんな若くて面白いけども。
H Jungle with t / WOW WAR TONIGHT ~時には起こせよムーヴメント
当時まだ新宿歌舞伎町にあったリキッドルームでやってた「Drum'n Bass Sessions」なんて人気パーティーもあったり、ドラムンファンは相当コアな人たちになっていった。
っていうか調べてたら、96年の北新地でのパーティーで客にインタビューしてる動画あって、あーこれじゃH Jungleは反発喰らうわって感じですね。初手から「しょもない四つ打ちがー」とかから始まりますもん。日本人マジメ!
【JUNGLEの魅力は?】DJ Matsuoka (松岡成久) @ KARMA 北新地
でもそれから数年たって、2001年のm-floの『come again』は、結構いろんな受け入れられたのではないでしょうか。ちゃんと2STEPのマナーを大事にして、低音をちゃんと鳴らしてたのが良かったのかも。
2003年のRIP SLYME『JOINT』もポップシーンでドラムンサウンドを取り入れた楽曲の中ではかなりヒットした部類ですよね。ドラムンっていうよりも、ブレイクビーツじゃないか?っていう気もしますけど。
アイドル文脈にある楽曲は今年1月にまとめたんですけど、はてなダイアリー→はてなブログの移行でYOUTUBEが全部見れなくなってますね。時間があったら直そう…。
代表曲を2曲、Aira Mitsukiの『Yellow Supercar』とPerfumeの『ポイント』。この2組を今並べると、またいろいろ感慨深いですね。
Aira Mitsuki - Yellow Supercar
Perfume - Point (1080p Live, Subtitled, 2013)
あと、2018年のtofubeats『ふめつのこころ』もサビからビートがドラムンっぽくなっていって、一瞬だけブレイクビーツが入るのは、「ちゃんと文脈わかってますよ!」というトーフ君なりのリスペクト表明akaアリバイ作り、という感じ。
たぶんこんな話をこのブログで何度もやると思います
おっさんの昔語りなのでもうしょうがないことなので、大目に見てやってください。しかしこうした歴史を見てからTWICEの『Cheer Up』聴くと、いろいろ消化して昇華して出来てるアイドルソングって面白いなって思います。
<追記>
6年前にもやっていたw おじいちゃん、何度同じ話をしたら気が済むんだ…。しかし今これだけ韓国のアイドルシーンが面白いのは、2011年~12年頃の日本のアイドルシーンの楽曲派な感じが韓国に来ているのかも、とも思いました。